2倍以上!?歯がダメになると、認知症や心筋梗塞のリスクが高くなる?

歯の健康が、全身の健康や寿命に影響を及ぼしていることはご存じですか? このことを知っている人と知らない人では、中高年以降の健康状態に大きな差が出ると言っても過言ではありません。その理由は、虫歯や歯周病によって歯が悪くなったり歯を失ったりすると、さまざまな病気の危険性が高まるため。なんと、昨今の研究によると、認知症や心筋梗塞、狭心症などのリスクが2倍以上になるのだとか。今回は、根拠となるデータをもとに、その危険性を説明します。

歯が残っている本数が多い人ほど「健康寿命」が長い

80歳で健康な歯が20本以上あると、身の回りのことができる、歩けるなど、生活の自立度が高いという報告があります。生活の自立度が高いと寝たきりになる可能性が低く、「健康寿命」と呼ばれる健康で長生きできる期間が長くなります。そのため、厚生労働省や日本歯科医師会は「8020運動」(80歳になっても20本以上自分の歯を保とうというキャンペーン)を推進しています。

歯がない人は認知症のリスクが約2倍

実際に、厚生労働省の研究班が、愛知県に住む65歳以上の高齢者を対象に4年間行った調査では、自分の歯が20本以上ある人と比較すると、歯がほとんどなく入れ歯も使っていない人が認知症になるリスクは約2倍という結果が出ました。さらに、この調査では、転倒する危険性が2.5倍、要介護認定を受ける可能性が1.2倍上がることもわかっています。

かみ砕く力が低い人は死亡リスクが2.7倍

歯が残っている本数が多い人ほど健康寿命が長くなる理由は、かみ砕く力にあると考えられています。8020運動を推進している財団が、福岡県に住む80歳以上の高齢者を対象に4年間行った調査の結果によると、かみ砕く力が低い人(すべての食材がかめない人)は、かみ砕く力が高い人(いろいろな食材がかめる人)より死亡リスクが2.7倍も高いことがわかっているからです。

かみ砕く力が寿命を決めるワケ

歯がない、あっても機能していない、入れ歯はしているが合っていないという状況だと、食べものをかむのが難しくなり、あまりかまずに飲み込めるごはん類やお菓子類など柔らかいものを中心とした食事になってしまいがちです。

しかし、肉や魚に含まれるタンパク質は、脳の機能や筋肉量の維持に欠かせないもの。こうした食品を避けるようになると、脳や体の機能が低下して自立した生活が困難になり、加えて野菜や果物のビタミン・ミネラル類、食物繊維などが摂りづらくなると生活習慣病や認知症のリスクが高まる可能性があると言われています。

また、かむ力は歩くための敏捷性や平衡感覚、脳の認知機能との関連が注目されており、かむ力が弱くなると、連動して歩けなくなったり、記憶力が低下したりするなどのリスクが高まるとも言われています。

歯周病の人は心筋梗塞や狭心症のリスクが2倍

昨今の研究では、歯周病と、脳梗塞や心筋梗塞、狭心症、動脈硬化症などの病気との関連性が注目されています。特に、歯周病の患者さんの場合、心筋梗塞や狭心症のリスクは、そうでない人と比較すると2倍以上になるという研究結果があります。

心筋梗塞や狭心症は、動脈硬化によって心筋に血液を送る血管が狭くなったり塞がってしまったりする病気ですが、血管内に血栓ができる原因のひとつに歯周病菌の感染の可能性が指摘されています。実際に、歯周病でもある心疾患患者さんの血管内から歯周病菌が見つかったこともあるそうです。

健康で長生きするために歯を守ろう

このように、歯や口腔内のメンテナンスをおろそかにしていると、思いもよらぬリスクが高まります。健康で長生きするためにも、虫歯や歯周病の治療はもちろんのこと、日々のメンテナンスや定期健診を心がけて、歯の健康を守っていきましょう!