知っておきたい!はじめての在宅歯科医療

高齢化によって、歯科医療も大きく変わってきています。昨今では、歯科医院に対して、高齢の患者さんへの往診や介護施設での在宅歯科医療などが求められるようになり、在宅歯科医療の重要性が増してきました。今回は、はじめて在宅歯科医療に携わる方々に向けて、基本的な流れや体制づくり、注意点を解説します。

在宅歯科医療の流れ

在宅歯科医療を行うときには、まず歯科訪問診療の基本的な流れを理解しておくことが大切です。

  1. 患者さんや施設からの歯科医院への訪問診療の要請
  2. 歯科医院での訪問の準備
  3. 訪問診療・治療の実施(診察、治療計画の説明など→治療・指導→後片付け・事務処理)

歯科訪問診療と外来治療の最大の違いは、治療スペースにあります。医療のための専門施設ではなく、患者さんの「生活の場」である自宅や施設で診察や治療を行うため、患者さんのご家族以外にもさまざまな人と関わる必要があります。在宅医や訪問看護師、施設であればケアマネージャーや介護福祉士などと連携をとり、情報を共有しましょう。チーム医療であることを忘れないようにすることが大切です。

在宅歯科医療の体制づくり

次に、このような歯科訪問診療を行うために必要な歯科医院内での体制について、詳しく説明します。

歯科医院内に在宅歯科医療の相談窓口を設置しよう

最優先するべきは、在宅歯科医療の相談窓口を作ることです。例えば、待合室などに「歯科訪問診療のご案内」を掲示して、通院が困難になった患者さんに対して、訪問診療を実施していることを周知するように努めます。介護度が高い患者さん、寝たきりの患者さんは、口腔内に問題があっても言えなかったり、諦めてしまったりします。ご家族から相談があったら、定期的な検診の提案なども行うといいでしょう。

歯科訪問診療の受付時に確認すべきこと

歯科訪問診療の依頼があったら、以下のようなことは必ず確認をとります。

  • 訪問先が居宅か施設か
  • 主訴の状況・緊急の要否
  • 患者さんの疾患やADL(日常生活動作)の評価
  • 主治医や担当ケアマネージャーなどの情報
  • 訪問希望の曜日や時間帯
  • 訪問先の住所、道順・駐車スペース、連絡先

歯科訪問診療用の器材や書類を準備しよう

歯科訪問診療を行うには、以下のような器材が必要です。

  • 基本セット(デンタルミラー、ピンセット、エキスカベーター、スケーラーなどの滅菌済みのセット)
  • 治療に応じた切削用具(ポータブル・ユニット、ポータブル・エンジンなど)
  • 照明
  • 吸引器
  • 聴診器
  • 血圧計
  • 経皮的酸素飽和度計

そのほかに、カルテや処方せん、領収書などの関係書類、保険算定要件などの必要とされる文書などは、その場で記載できるように準備しておきます。

在宅歯科医療を安全に行うための注意点

歯科訪問診療を安全に行うためには、以下のようなことに気をつけます。

治療の意思決定ができるキーパーソンを把握しよう

初回の診療時には、受付時に聞き取りしたことを再確認して、治療に応じて方針を説明します。ただし、意識障害や認知症の患者さんの場合、治療の意思決定ができないこともあります。そのような場合は、歯科医師が治療についての意思決定権をもつキーパーソンが誰かを把握しておくことが重要です。時には、患者さんとその方との要望が違う場合があります。生活習慣や介護者の状況を踏まえて、適切な判断をしていかなければなりません。

「生活の場」で医療を行うリスクに注意しよう

医療を行うための専門施設ではなく、自宅や施設という「生活の場」での医療には、リスクがたくさんあります。準備不足や器材不足がないこと、感染対策を徹底すること、状況に対応できる歯科衛生士を同行させることなど、細心の注意を怠らないようにしましょう。

在宅歯科医療で地域に信頼される歯科医院に

在宅歯科医療を行うには、経済的・人的負担もそれなりにかかります。ただし、実現すれば、かかりつけ医として地域の信頼を得ることが期待できます。在宅歯科医療について、十分に調べ、準備した上で万全のスタートを目指しましょう。

いかがでしたか? タカラベルモントでは、先生と一緒にこれからの医院づくりについて考えさせていただきます。いつでもお気軽にお声掛けください。