「色」が患者さんの心理に影響を与える!? 施工事例からみる空間作りのヒント

1859年に出版された本のなかで、ナイチンゲールは「いろいろな形、美しい色彩に触れると、患者さんの回復は早まるものだ」と書いているそうです。たしかに、歯科医院が心地よい雰囲気だと、歯の痛みや治療への不安が和らぐもの。

今回は、色彩が人に与える影響を踏まえた空間づくりのヒントについて、施工事例をもとにご紹介します。

色彩が人の心理や行動に与える影響とは?

色彩には、以下のようなそれぞれの働きがあり、人の心理や行動に影響を与えています。

  • 赤……興奮や刺激をもたらす。交感神経に刺激を与え、体温や血圧、脈を上げる。
  • ピンク……女性的なイメージが強く、幸せや優しさを連想させる。人を癒す効果も。
  • オレンジ……陽気や元気、活発さをもたらす。消化や新陳代謝を促進し、食欲を増進させる。
  • 黄……明るさや希望などを連想させる。脳細胞や運動神経を活性化させる。
  • 緑……安らぎを与え、身体を癒す効果がある。情緒を安定させ、筋肉の緊張をほぐす。
  • 青……冷静沈着さや論理的な印象を与える。鎮静作用があり、体温の低下や痛みの緩和などにも効果的。
  • 紫……優雅さや高貴さを表す。鎮静作用があり、運動神経の働きや食欲を抑制する。
  • 白……純潔さや清潔さを象徴する。殺菌効果があるという説も。
  • 黒……相手を威圧する。老化を早めるといわれている。

色の効果を生かして患者さんが心地よくなる空間づくり

それでは、歯科医院の施工事例から、どんなふうに色の効果が活用されているかを見ていきましょう。

親しみやすさ抜群!緑で彩られた通路が印象的な「そめたに歯科クリニック」

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大阪市にある「そめたに歯科クリニック」では、入口や通路の枠に、癒し効果の高い緑を使っています。受付、待合室、診察室、どこにいても必ず目に入る鮮やかな緑は、歯の痛みや歯科治療への不安を和らげるだけでなく、親しみやすさや楽しさを感じさせてくれます。

また、通路の行き止まりにミラーを設置することで空間を広く見せていることも、リラックス効果を高めているといえるでしょう。

信頼関係を築く!落ち着いた青を活用した「宮崎ミナトデンタルオフィス」

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宮崎県にある「宮崎ミナトデンタルオフィス」は、海岸に近いという立地から、外観から受付、診察室まで、うまく青を取り入れています。診察室の仕切りにはガラスを使って、透明感のある「青」を表現。本来、青という色は冷たい印象になりがちですが、これをうまく回避して、清潔感がある空間づくりに成功しています。

医療施設の清潔感は、信頼性につながるもの。患者さんとの信頼関係を大切にしたいというコンセプトともマッチしている好例です。

高級感のある木目で柔らかく明るい雰囲気の「ドリームデンタルクリニック」

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福島県郡山市のうち、裕福層が多い地域で開業している「ドリームデンタルクリニック 」の内装は、木目を使用したナチュラルな色調の診察室が印象的。間接照明と相まって、一見、歯科医院とは思えないほど、柔らかく明るい雰囲気です。

診療台には希望を与える黄色を採用し、患者さんの不安を和らげて、前向きに治療に向かわせる効果を上げています。オレンジに近い赤みのある黄色なので、華やかさもあり、インテリアのアクセントにもなっています。

子どもには遊び心あふれる空間を

患者さんに子どもが多い歯科医院では、待合室の絵本や遊び道具にも色彩をうまく取り入れて、遊び心あふれる空間を演出してみてはいかがでしょうか。

ロンドンの、ある子ども病院では、「不思議の国のアリス」をテーマに空間づくりをしています。テーマを成功させた秘訣は、白いウサギを追って穴に入ると、まるで「小さくなる薬」を飲んでしまったかのように、すべての家具が大きく見える(大きく作られている)という仕掛け。あちこちにいる巨大なフクロウやトラに見下ろされながら、子どもたちは巨大なテレビを使ったゲームでダンスやエクササイズ、音楽、ペイント遊びなどを楽しむそうです。病気の子どもたちを元気づけるこの取り組みは、とても興味深いものです。

心地よくなる空間はちょっとした工夫から

このように、さまざまな色彩が人に与える影響を知って、それらをうまく取り入れるだけで、空間の雰囲気はがらりと変わります。内装工事まで行わなくても、花や観葉植物を置く、定期的に壁の絵を変えるなど、ちょっとした工夫でも十分です。心地よくなる空間を作って、スタッフも気持ちよく患者さんを迎えられるように準備してみてはいかがでしょう。

いかがでしたか? タカラベルモントでは、先生と一緒にこれからの医院づくりについて考えさせていただきます。いつでもお気軽にお声掛けください。