ソーシャルデザイン事例から考える、歯科医院と地域社会との付き合い方

社会的な問題を解決し、新しい価値を生み出す仕組みをつくる「ソーシャルデザイン」。社会制度から生活基盤の整備にいたるまで非常に幅広く語られる言葉ですが、近年注目されている動きです。特に、2011年の東日本大震災以降、地域社会で人々がつながり、互いに協力して問題解決に向かう活動が活発になってきました。

一方、昨今では地域包括ケアシステム構築の重要性も高まっており、医科歯科連携を含めて、お口の健康を守る歯科医院が地域社会で果たす役割に期待が寄せられています。今回は、3つのソーシャルデザイン事例から、歯科医院と地域社会との付き合い方を考えてみたいと思います。

事例1 街ぐるみで子どもを育てる「まちの保育園 小竹向原」

幼児期は人格形成にとって大事な時期と言われています。そのような0歳から6歳の子どもたちを、多様な価値観やパーソナリティーに触れさせたいという目的から、地域交流を求めて誕生した「まちの保育園」。2011年にオープンした「まちの保育園 小竹向原」(東京都練馬区)では、保育士のほかに、お年寄りや有識者、社会人、学生などの一般の方々が、ボランティアとして保育に参加しています。街の人が気軽に立ち寄りやすいように、カフェやギャラリーも併設。朝食の時間帯から夜遅くまで営業しているカフェは、子どもたちを中心として、近所に住む人々が交流する憩いの場となっています。

歯科医療に携わる医師やスタッフには、子どもたちや保護者を含めて、街の人々に提供できる知識や経験が豊富にあります。このような場所で地域交流を深めることは、社会貢献の観点からも重要だといえます。

ただし気を付けなければいけないのは、歯科医院の営業活動と捉えられないようにすること。例えば、無料での歯みがきレッスンや虫歯を防ぐ生活習慣をまとめた冊子の配布など、あくまでボランティアで「できること」から始めましょう。

事例2 おふくろの味をおすそわけする「学園坂タウンキッチン」

次にご紹介する「学園坂タウンキッチン」(東京都小平市)は、20~70代の女性が有償ボランティア「タウンシェフ」としてお惣菜やお菓子を販売する、“街の台所”です。子育てが一段落した主婦たちが時間を持て余している一方で、独身の若者や子どもたちがコンビニ弁当やファーストフードで食事を済ませている現実を、地域の人間関係づくりで解決したいという思いから、2010年にオープン。翌年にはコミュニティスペースが併設されて、タウンシェフ主催のイベントまで行われるようになりました。

食に関する場所も、歯科医院が積極的に関わっていける場所のひとつ。生活習慣病とお口の健康の関係などの情報提供を行うことは、歯科医院の重要な役割といえます。また、忙しくて歯科医院に来られない方のために、デンタルケアグッズのプレゼントなども喜ばれると思われます。

事例3 街の人々がつながる場所となった「善了寺 聞思堂(もんしどう)」

昔は人々の憩いの場所だったお寺。現代にもその価値を取り戻そうと、横浜市戸塚区にある善了寺と特定非営利活動法人カフェ・デラ・テラが2012年に共同で立ち上げた「聞思堂」というコミュニティスペースがあります。

ここでは、交流が失われてしまった地域の人々が再びつながれるように、夏至・冬至に行われるキャンドルナイトをはじめとして、コンサートや学習会、ヨガ教室など、多様なイベントが行われています。人や地球にやさしいライフスタイルを提案したいという主催者たちの理念に、共感する街の人々が集まっています。

限りある自然や資源と共存できること。そんな当たり前のようでかけがえのない幸せを模索している現代社会において、歯科医院も自らの役割を真剣に考える時期がきているといえるのではないでしょうか。お口の健康を守ることは、貴重な資源を節約すると同時に、人々の生活の質を上げていくことにもつながります。そのような視点から、子どもや高齢者などの幅広い世代に向けて、予防歯科の情報を発信することは大切だと考えられます。

「みんなのこと」を考えることから始めましょう

これからの歯科医院は、「自分のこと」だけではなく「みんなのこと」を考えて、できることから社会貢献することで大きな役割を果たすことができると思われます。それは、歯科医院経営にとっても無駄なことではありません。相手の役に立つ地域交流は「非営業的接点」となり、潜在的な来院者を育てることにつながります。歯科医院にとっても地域社会にとっても、よい“種”をまくことを考えてはいかがでしょうか。

いかがでしたか? タカラベルモントでは、先生と一緒にこれからの医院づくりについて考えさせていただきます。いつでもお気軽にお声掛けください。