人間関係を円滑にする「私」を主語にした会話術

アメリカの心理学で「I statement(アイ・ステートメント)」と呼ばれる会話術があります。「私」を主語にするこの話し方は、人間関係を円滑に保ちつつ相手に自分の言い分を伝えたいときに、とても有効だといわれています。「私」を主語にした会話とはどのようものか、その効果も交えてご紹介します。

I statement(アイ・ステートメント)とは?

相手の行為によって、なんらかの問題が起きたとします。その行為を改善してほしいと相手に伝えるときに、私たちは通常どのような話し方をしているでしょうか? 「○○さん、遅刻は困るよね」「△△さん、もう少し早く仕事をしてくれないかな?」などと、相手を主語にして話すことが多いと思います。

しかし、相手を主語にした言い方をすると、言われた人は責められているように感じてしまうものです。さらには自己防衛本能から反感を抱きやすく、非協力的となる傾向があるといわれています。これを逆に「私」を主語にした言い方にすると、同じ内容でも相手は申し訳なく感じてすぐに改善しようと反省する気持ちになるのだそうです。

では、どのような会話になるのか、具体例を挙げてその効能を考えていきましょう。

「私」を主語にした会話例

ここでは歯科医院における「患者さんとスタッフの会話」「スタッフ同士の会話」で、「私」を主語にした例を見てみましょう。

患者さんとの会話例

  • 「○○さんの歯はこんな状態なので、Aの治療をしたほうがいいですよ」
  • 「○○さん、虫歯が多いですね。歯の磨き方を見直しましょう」

これを「私」を主語にした言い方に変えると、以下のようになります。

  • 「私の歯科治療の経験から申しますと、Aの治療が一番効果的です」
  • 「私が心配しますのは、今の歯の磨き方だと、虫歯がさらに増える可能性があることです」

スタッフ同士の会話例

  • 「あなたが遅刻したから、Bさんの治療が遅れた」
  • 「あなたの仕事が遅いので、問題が起こった」

これを「私」を主語にした言い方に変えると、以下のようになります。

  • 「私は時間どおりにBさんの治療をしたかった」
  • 「私はもう少し早めに仕事を手伝ってもらえると助かるかな」

「あなたが××したことは、大変困った問題だ」という言い方ではなく、「私は××が起こったことで、とても大変な事態になったと考えています」と自分を主体にした言い方にします。

どうでしょうか?同じ内容でも「私」を主語にしたほうが、言われた人は反省する気持ちになるのではないでしょうか。

「自己中心的」と誤解されないための3つのポイント

英語では自己の表現を強くしても問題ありませんが、日本語では「私」を主語にすると「自己中心的だ」と誤解を招く場合もあります。そうした事態を避けるために、心がけておきたい3つのポイントをご紹介します。

1.    短めに話す

相手への苦情を伝える場合は、話す内容を短くまとめます。回りくどい言い方や長いセンテンスを話すのは避けて、要点だけを伝えるようにしましょう。

2.    感情的な言葉を省く

感情的な表情や言葉は控えましょう。特に「悪い」「イヤ」「二度とダメ」「絶対にすべきではない」など、怒りの感情が込められる言葉は使わないことです。

3.    相手ではなく、できごとに焦点を合わせる

相手を責めるのではなく、できごとにフォーカスします。相手の人格を否定せず、相手がしたことを問題視していきましょう。

思いやりの気持ちがつくる「私」主語の文章

いかがでしたか?「あなた」を主体にする文章では、相手の非や患者さんの悪い状態だけが浮き彫りになって、いい印象を与えません。しかし、「私」を主語にすることで相手を刺激することなく、こちら側の主張を伝えたり相手に反省を促したりできるのです。同じ内容を伝えるなら、人間関係にも支障をきたすことなく相手の心を前向きに動かす方法を選びたいものです。「私」を主語にした会話を、よりよい歯科医院経営に役立ててみませんか?

いかがでしたか? タカラベルモントでは、先生と一緒にこれからの医院づくりについて考えさせていただきます。いつでもお気軽にお声掛けください。