よりよい医療と生活のために!いま注目の「医科歯科連携」

高齢化が進む現代では、医療のあり方がさまざまな変化を見せつつあります。なかでも注目したいのが、「医科歯科連携」です。これまで歯科では、医科と連携する機会はそれほど多くありませんでしたが、高齢化の影響から在宅医療や口腔ケアの重要性が高まり、医科と歯科が連携したチーム医療が実施されるようになってきています。今回は、私たちの健康や生活にも関わる医科歯科連携についてお伝えします。

健康維持や病気予防の観点からも重要な口腔ケア

虫歯治療や予防の充実により、虫歯の患者さんが減少しつつある現在では、総合的に口腔内の維持管理をする口腔ケアが推進されています。これは、ただ歯みがきをするだけではなく、虫歯や歯周病の治療はもちろんのこと、入れ歯のお手入れ、ドライマウスへの対処、その他の口腔トラブルのケアなど、さまざまな方法で歯や口腔の健康を保つ取り組みです。特に高齢者にとっての口腔ケアは、健康維持や病気予防となるだけでなく、QOL(生活の質)も高まる傾向があるといいます。

医科と歯科の疾患には関連がある?

昨今、医科と歯科の疾患の関係性について、多くのことがわかってきました。医科と歯科が連携することで病気の治癒が早まったり、合併症を防ぐことができたりして、健康的な生活が送りやすくなると考えられています。

がんの場合

血液や消化器、頭頸部などのがんでは、抗がん剤や放射線治療によって、口内炎や口腔乾燥症、味覚の異常といった副作用が起きやすくなります。そして、これらの症状が原因となって栄養状態が悪化すると、がん治療にも悪影響がおよぶことも。歯周病の治療や義歯の管理を適切に行い、口腔ケアを徹底することは、口腔内の副作用のリスクを下げ、病気の治癒を早めて入院期間を短縮することにもつながります。

糖尿病の場合

治療を続けてもなかなか回復しない歯周病の患者さんには、糖尿病にかかっている人が少なくありません。また、糖尿病の治療を中断しているというケースもよく見られます。そのような場合、歯科医師から医科の検査や糖尿病治療の再開を勧める保健指導や、内科医の紹介を受ける場合があります。

訪問診療と病棟ケア―医科歯科連携2つの事例

高齢者への口腔ケアや特定の疾患の治療において、医科と歯科の連携は欠かせないものとなってきています。具体例として、訪問歯科診療と病棟ケアについてご紹介します。

  • 訪問歯科診療
    厚生労働省が推進する地域包括ケアシステムでは、高齢者への在宅医療や訪問診療の一環として、歯科が歯科治療や口腔ケアを行います。地方自治体の主導のもと、医科歯科のみならず保健や福祉などの関係者を含めたチーム医療の体制を作っています。
  • 病棟ケア
    病院の入院病棟では、看護師が患者さんの歯みがきや口腔内を拭くなどのケアをすることが多いようです。しかし、常に歯や義歯の状態を把握して適切な処置ができるわけではありません。医科歯科が連携することで、専門家である歯科医師や歯科衛生士が入院患者さんの口腔ケアをするようになれば、入院期間の短縮や合併症の予防につながる可能性があります。

医科歯科連携が導くよりよい医療と豊かな暮らし

患者さんの高齢化により、ますますニーズが高まる医科歯科連携。歯科医院は、地域包括ケアシステムにおける在宅医療チームの一員として、また全身状態の改善に向けて病棟で口腔ケアを行うなど、社会での新たな役割を担っています。

口腔内のトラブルは健康や生活に深刻な影響をもたらすことがありますが、しっかりとケアをすることで病気が快方に向かったり、暮らしが豊かになったりする可能性は十分にあります。自分や家族がよりよい医療を受けるためにも、医科歯科連携について正しく理解して適切にサービスを利用したいものです